「初めて入ったけど、アメニティ結構色々揃ってるんだ」

 手早く髪を洗い、身体も洗った。
 ついでにGジャンの汚れた部分も軽く流す。
 脱衣所には歯ブラシもある。食べたらすぐにでも歯を磨きたい私は、もちろん有難く使わせてもらった。

 ベットルームに出ると、吐き疲れたのか、亮平が大きなベッドの上で伸びていた。

「亮平、大丈夫? 吐き気治ったの? ソフトドリンク無料って書いてるけど、お水かポカリ飲む?」

 水分補給しないと、さらに気分悪くなりそう。

「……いや、俺もシャワー浴びる」

 歯、磨かないと何も飲めない、と言いながらバスルームに入っていった。

 まあ、そうだろう。
 その間に髪をかわかそう。
 あ、それより家に遅くなるって言わなきゃ!

 母に雅ちゃんと会ってるから遅くなる、とメッセージを入れた。
 すぐ返信があり『じゃあ泊まらせてもらいなさい』と返ってくる。
 
 え、なぜ?

 『明日は祝日でしょう? 早朝から室田さんご夫妻とゴルフなの。なるべく早く休みたいのよ。お父さんももうお酒飲んじゃって、駅まで車で迎えに行けないの。どうしても帰るって言うなら今から亮ちゃんに迎えに行けるか聞いてみるけど』

 あー。なるほど……。亮平はここで伸びているから確実に無理だ。