「結衣子! こっちこっち!」
「雅ちゃん! ゴメンね、遅くなって」
「いいよ〜。まだまだみたいだし」

 ほんと、まだ前に10人は並んでるよね。私達の後ろにはさらに20人はいるかなぁ。

「楽しみだね! 期間限定の“キャラメルチョコレートがけ練乳ミルク味”」
「私としたことが、最終日まで期間限定に気づかなかったなんてどうかしてるよね。昨日の夜気づかなかったら一生悔やんだかも!」
 
 今日はいつもならマンゴー味オンリーのかき氷屋さんの、期間限定味最終日なのだ。

 雅ちゃんはスイーツ大好き女子。『新作』とか『期間限定』とか『レアもの』と言う言葉に弱い。

 実家が老舗洋菓子店ということもあって、スイーツには並々ならぬ情熱を注いでいる。

 高校時代から、スイーツ巡りに付き合わされるのは大抵私だった。私もスイーツが大好きだからすごく楽しみなんだけど。
 
「それで、バイトの面接どうだったの? もちろん採用よね?」
「あ、うん。来週から平日に週3で入る予定。社販だと半額だって。家族の分も買えるから、雅ちゃん楽しみにしててねっ!」
「マジ⁉︎ あそこの下着、可愛い上にスタイルアップ出来るから最高じゃない! 嬉しい〜!」

 私は今日、下着屋さんへアルバイトの面接に行ってきた。
 もちろん採用で、来週から売り子さんをする。