「行きますよ。結衣子先生も行くよね?」
「はい。でも、カラオケはちょっと……苦手なんですよ〜」
「えぇ! そんなに綺麗な声してるのに?」
「いえ、全然。聖歌なら覚えてるからスラスラ歌えるんですけどね。カラオケは新しい曲わからないし」
「結衣子先生はマイクを両手で握りしめて、モニター凝視して歌うんだよ。一昔前のアイドルみたいですごく可愛くて、ナツメロ歌わせたら男ならみんなキュン死レベルだよ。本当はファン多数なんだけどね。恥ずかしがって歌わないから――」

 と、余計な情報を入れてくる。やめてほしい。

「えぇっ、それはぜひ見たい! 参加してくださいっ!!」

 エェ、そんな目をキラキラさせて言われても……。

「うー……わかりました」

 ……ダメだな。こういうの、断れた試しがない。

「ありがとうございます! 楽しみだなぁ〜! ……ところで、坂上先生何してるんですか? 結衣子先生と2人っきりで」
「うーん。カウンセリングを受けてたってとこかな。結衣子先生のおかげで目が覚めたところ」

 仕事に戻るよ、と席を立った。

「仲良いんですね。お2人」

 と、何故かじとっと見てくる。
 何か誤解してるかな?

「後輩だからね。それに、俺の彼女と結衣子先生は小さい頃から仲が良くてね」
 
 よく2人で出かけてるよ、と聖くんがしっかりフォローしてくれる。

「そうなんですね」

 ホッとする。焦る必要は全くないんだけど。

「コーヒーご馳走さま」
「どういたしまして」

 なぜか、意味ありげな目でじっと見つめてくる聖くん。
 ん? まだ何か言いたいことあったのかな?

「じゃあ金曜日、楽しみにしてますね!」
「あ、幹事お疲れ様です」

 はぁー。2年目は大変だよね。

 さてさて、プロポーズ、成功するといいな。