日がすっかり暮れて、皆んな帰り支度を始めた。

 思いがけない稲森の告白に少ししんみりした雰囲気になったけれど、いいホームパーティーになったと思う。

 廣澤と稲森の距離が近づいたかどうかはわからない。でもあとはあいつら次第だと思う。

「なんか、思わぬ展開になったけど、楽しかったね。誘った人みんな来てくれるなんて、奇跡みたいだし」
「……俺だけいじられてたような気がするのは気のせいか?」
「い、や、そんなことないんじゃない?」

 と言いつつもクスクス笑う結衣子。

 まあ、ホームパーティーの準備をほとんど一人でして、頑張ったのは結衣子だ。結衣子が楽しかったというならそれでいい。
 
 皆んなが帰ってから、あまりお腹は空いてなかったが、簡単に煮込みうどんを食べた。

 鉄平を風呂にも入れた。

 でも、今日は家の中に人が多かったせいか、気が立っていてなかなか寝ようとしない。そこら中を這い回っている。

 チッ……風呂でもうちょっと疲れさせるべきだったな。

「ねぇ、麗ちゃんの話だけど……。私、亮平にすごく心配かけたんだね。ごめんね?」 

 稲森の余計な話か。

「結衣子が謝ることじゃないだろ? 出産はいつの時代も命懸けだ。何があるかわからない。それに、結局、早期破水の原因だってわからなかったんだ。どこを取っても結衣子のせいじゃないだろ? 稲森の言ってたことなんか気にするな。鉄平はあんなに元気なんだから」