せっかく結衣子と鉄平が来てたのに、邪魔しやがって!

 足取りも荒く病棟に戻ると、そこに居たのは同期の廣澤だった。

「やっと帰ってきた。……お前、なんか険しい顔してるぞ? どうした?」

 当たり前だ! 妻子との大事な時間を邪魔しやがって!

「大した用じゃなかったらぶっ殺す! せっかくの家族との時間を……」
「え、結衣子ちゃん来てたのか?」
「鉄平の6ヶ月健診だったんだよ! せっかくゆっくり出来るように、最後の枠に入れてたのにっ!」
「あー、それは悪かったな。でも……今日も家に帰ったら会うんだろ?」
「それとこれとは話が別だ! 病院で会うという非日常感がだなぁ……」
「わかった、わかった。悪かったよ。
 病理の結果が出たから、早い方がいいかと思ってな。山代大河くんのな」

 俺の患者で、廣澤にオペを頼んだ患者だ。こいつはチャラいが腕はいいからな。

「カンファレンスルームで聞くよ」

 仕事モードに戻ると、今後の治療方針を話し合った。