「そこをなんとか! 他のオンナと差をつけたいんです! コンパとかじゃなくて、特別感ある感じでお話したいんです〜」

 あ、ダメだ……。この展開は、断れないんじゃ…………ハァ。

「う、わかった……。ちょっと考えてみる。亮平にも協力してもらわないとね」
「あ、藤田先生には言わないでください!
 ……すみません。正直に言います。藤田先生って、そういう人と人との機微を理解しないって言うか、面倒くさがるでしょう? そのものズバーって廣澤先生に言っちゃいそうで……」

 ……あぁ、さすがによく分かってるな。駆け引きゼロ男だからな。直球投げて、開き直るだろう……。

「うーん。……ちょっと考えてみる……」
「はい! お願いします! あ、スマホ出してください。メッセージ交換しますよ。ほら、出して!」

 麗ちゃん……積極的だね……。

 こうして、相変わらず断れない私は、新たに出来た友の頼み事を引き受けることになってしまった……。

 でも、ちょっとわくわくしていたりもする。
 ずっと家事育児で引きこもりがちな今、恋愛相談を受けるなんて思ってもみなかったから。学生時代みたいじゃない?
 亮平にアタックしていたことには驚いたけれど、正直なところ全く気にならない。
 それはやっぱり亮平への信頼なんだと思う。
 亮平が私を裏切ることはないという絶対的な信頼関係が今の私たちにはあるからだ。

 フフフ……ちょっと大変なミッションだけど楽しみだわ。