「お、来た来た」

「葉瑠さん、ありがとう」

「んー?いいのいいの!ほら、好きなの選んでいいよー!」


葉瑠さんが広げたのは、4人でやるのには十分すぎる量の手持ち花火。

鈴は、その鮮やかな光景に目を輝かせ、楽しそうに火をつけた。


「わああ!凄い!凄い綺麗!お姉ちゃんも!」

「うん!凄いねー!」


鈴と菜摘は楽しそうに笑って、両手に花火を持った。

僕はその様子を見ただけで、幸せな気分になり思わず笑みがこぼれる。


ロウソクを風から護る葉瑠さんのすぐ近くで次々と花火に火をつける鈴を眺めていると、隣に菜摘がやってきた。


「大翔、あんまりやってないでしょ?」


片手に火のついた花火。

そしてもう片手に新品の花火を持ち、その花火を僕に差し出す。


「ほら、消えちゃう前に」


そして、その火を僕に持たせた花火に近付けるから、僕も恐る恐る自分の持つ花火を寄せた。