「ごめん、シュンくん」

「大丈夫。駐車場で合流しようって」


意思疎通が成功したのか、そんなことを伝えて、私を安心させる彼。


「ゆっくり行こ」

そう言って、私の手をとったシュンくん。

あまりにも自然なその行動に、私は簡単に流された。


「…え、」

「うん?」


なんでもなさそうな顔をして、振り返るシュンくんに、私も何も言えなくなり曖昧に笑う。

だけど、私の手を遠慮がちに包むその手のひらが嬉しくて、心がポカポカとあったかくて。

ドキドキする心臓は落ち着かないのに、どうしてか安心する。


その瞬間に、私は自覚してしまった。


…私、シュンくんが好きなんだ。


「体調は、平気?」

「え、うん」

「そう。久しぶりだと人酔いするかもだし、具合悪くなったらすぐ言えよ」


心配性すぎで、いつも私のことを気にかけてくれていて、とことん優しいお兄ちゃんのお友達。


きっと、妹のようにしか思われていない。

だけど、この温かい気持ちはきっと、そういう事だ。


「うん…、ありがと」


ギュッと、感情のままに手を握り返すと、シュンくんは顔色こそは変えなかったけど、

遠慮がちだったその手のひらで少しだけ強く、握ってくれた。