ふと見える景色が明るくなる。


あぁ、そうか。“私”が目覚めたんだ。

そういえばまた外で寝たんだっけ。

それにしては頭痛も体の凍えもないような気がする。


体を起こすと、“私”から何かがバサリと落ちた。


見たことの無い服だ。
分厚さ的に上着だろうか。

それにしても綺麗な藍色をしている。


“私”はこんな服を持っていただろうか。いや、そんな記憶はない。

“私”のサイズより大きいものだ。


状況的に誰かが、“私”が風邪を引かないようにと掛けておいたのだろうか。

優しい人だと思う。


袖を通すと体温がまだ残っているようで暖かい。


良かった、これで“私”が風邪を引かずに済む。


父親(あのひと)も、きっともう眠っているだろうから、帰っても大丈夫。