「…………」


　それまで楽しそうにしていた長嶺さんだったけど、急に黙った私に〝やばい〟と思ったのか、表情を濁らせる。


「……ごめん、調子乗った。ほんとごめんなさい。今のはないな、セクハラだ、本当にごめん。もう言わない絶対、神に誓っ

「貰ってください」


　長嶺さんがピタ、と動きを止めた。



「処女、貰ってください」


「…………はい？」



　中学生のとき、級友たちがこぞって浮足立っていた感情はこれだったのか、なんて

　冷静に腑に落ちる自分がいる。


　明らかに思考停止してる初恋の人を、まっすぐに見る。
　

　
「私、長嶺さんを好きになってしまったみたいです」