「結莉だって、その気になればすぐ彼氏できるのにさ〜」


「いやいや、だから、私には恋愛とか無縁すぎて……」


高校の学校見学の時、この高校の制服と先輩方の可愛らしさを目の当たりにして、受験を即決めた私。


正直、この学校に入学できて、憧れの制服に袖を通して、ののちゃんという素敵な友達ができただけで大満足で。


クラスの女の子たちもみんな優しくて、お昼休みに数人で机をくっつけてお弁当を食べる時間が、1日で一番好きな時間。


恋とか彼氏とかそんな高度なことは今は考えられない。


「あ、ほら、水嶋くんとか」


っ!?


ののちゃんの口から発せられた名前にビクッとしつつ、彼女の視線の先に目をやると。


「水嶋くん、おはよー」


「あれ?水嶋くん、今日はピアスしてないんだねー」


「理遥、今日お前バイト?なければカラオケ行こうぜー」


うわぁ……。


教室の前にできている輪を見て、心の中で引いてしまう。