数え切れないほどいるこの世界の人々は、それぞれが異なる人生を歩んでいる。


平々凡々な人生に飽き飽きしている人、数奇な人生や波乱万丈な人生に疲れ切っている人。



皆口揃えて『お前はいいよな』とか、『なんで俺ばっかり』と言って、他人の人生と比べては自分の人生を悲嘆し、あたかも他人の人生が道標のように考えているが、私からすれば、数多なる分岐点に遭遇した時に自らが選んだ行先になぜ悲嘆するのだと不思議でならない。

……………

あの出来事に遭遇するまではそう思っていた……。