いつか永遠の眠りにつく日まで

「どうしよう…。」



1人で外に出なことがない私は、パニックになっていた。


まず道が分からない。頼れる人もいなければ、お金もない。

今の私には、何もできない。


(ルチェルナへ1人で帰るなんて、なんて無謀だったのかしら。)


自分の愚かさに気が付いて、打ちひしがれる。

お話で読んだようなお姫様だったら帰れたかもしれない。勇敢に戦う、お姫様だったら。


(いいえ。少なくとも、私よりも世間を知っているお姫様だったら…。)


途方に暮れて歩いていると、真ん中に噴水がある広場に出た。

広場にあるベンチに腰掛け、空を見上げる。


(今日も曇り空…。)


視界の隅にデネブリス城が入る。

そちらに向かって歩けばいいことは分かったが、自分からデネブリス城に帰るのは癪だった。


(逃げ出す、いい機会なのに…。)


そう思いながら俯くと、じわじわと涙が滲んできた。

ハッとして、涙が溢れてしまわないよう再び空を見上げる。


(帰りたい…。)


その時、頬を雫が伝った。涙ではなかった。



「雨…。」



ポツポツと降り始めた雨は、直に本格的に勢いを増した。

けれど、どこにも行く当てがない私はただぼんやりとベンチに腰掛け、空を仰いでいた。