今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─



アンが手の平で凝縮した火の玉は小指程度の大きさであったが、魔力濃度が濃密であり、ヘレナの目で追えないほどのスピードで飛んで行ってしまった。


「あ、ヤバ!やり過ぎ!」


校舎の端で行われていた演習の火の玉がアンの声と共に飛び、学校の一番端にある聖堂の鐘が破壊された。


破壊音が学校中に響き渡って、教師の顔面は蒼白になり、同級生たちは互いに抱き合って恐怖に慄いた。


火の玉魔法と言っても、通常は料理するのに事欠かないくらいの火属性魔法が使えたら優秀な方である。


だが、アンは火属性魔法が大得意で、この火の玉魔法なんて本気でやらせたら山一つ消し飛ばせる。


魔法家庭教師いわく

「魔王になれる」である。


「な、なななんですのあれは!」

「信じられない……」

「み、皆さん、落ち着いて」