透明魔法で透明になりながら、保健室を覗くのがアンの至上の楽しみだ。この時間を得るために生涯かけてこの右頬の傷を負ったのだから、この楽しみを謳歌する。
(そろそろ!ヘレナの手料理めちゃくちゃマズいぞイベントが始まるんじゃないかな!見逃さないようにしなきゃ!)
今日も意気揚々と透明魔法で透明なアンが保健室の前に到着すると、保健室のドアが開いた。
「げ」
「ん?」
透明のアンが思わず声を上げてしまう。口を塞いだがもう遅かった。なぜか保健室から登場したのはミカエルだった。
(なんでミカエルこんなところにー!!)
透明魔法は機能しており、ミカエルの視界にアンは映っていない。ミカエルは保健室前の廊下に立ち止まりきょろきょろと左右を見回した。
「おかしいな」



