気が済むまで悦ってから、アンは自宅への馬車に乗った。学業はどうした。アンは家が大好きなので、学生寮ではなく自宅通学を選んだ。
「保健室に行っていたな。気分でも悪かったのか?」
天国まで高揚した気持ちで直帰したアンを部屋で待っていたのは、王太子ミカエルだった。夢みたいな気持ちですごく幸せだったのに、ミカエルの顔を見るとすごく現実的で、すごく萎えた。
「なんで知ってるの?」
「俺はお前のこと何でも知ってるんだよ」
「怖い……」
「怖いじゃない。嬉しいと言え」
「改めるならそういうところからだぞ、ミカエル」