あれよあれよと花嫁衣装に着替えさせられて、アンは王城に連れていかれてあっという間に国王の前で結婚を誓った。
顔が綺麗になった公爵令嬢アンと王太子の結婚を阻むものはもう何もなかった。
『婚約なんてしてやらない』
確かに婚約なんて秒で終わった。ミカエルの言葉は期待のその上を飛び越えてしまったのだった。
真っ白な結婚式のドレスに身を包むアンの顔を隠すベールをあげて、ミカエルが神がかった美しさで微笑んだ。
「やっと、俺の思い通りだな」
「参りました!」
ベールを上げたアンの綺麗でつるんとした右頬を、ミカエルが全幅の優しさで撫でる。
ミカエルが顔を傾けて迫り、アンはキスを受け入れて静かに目を閉じた。
(今ドキの悪役令嬢は、婚約破棄どころか、婚約しません)



