今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─



二人で朝食を終えてアンの自室で、ミカエルとソファに並んで座って食後のお茶をしている。暖炉の中で火がパチパチと弾ける音がした。


(あれで顔焼いたのよね……私)


あの火に刺さっている火搔き棒で顔を焼いた日を想うと、身がよだつ。


今ではドン引きの勢いの良い行動に、アンは必死だったと思い出し笑いしてしまう。


アンの肩を抱いていたミカエルは、クスクス一人楽しそうに笑いだしたアンに眉をひそめたが、可愛いのでとりあえず額にキスしておいた。


「どうした?」

「いや、自分で顔に焼きごてしたこと思い出して、よくあんなことできたな私って思って」

「俺の思い通りになりたくなかったんだろ?」

「そう」

「なのに今、アンは俺の思い通りに可愛い恋人になってるけどな」


アンを抱き寄せて、ブロンドの髪に、額に鼻先に、右頬にキスをするミカエルはにっこにこのとっろとろだ。


「ミカエルの思い通りになりたくなかったのに、不覚……」

「でも俺の思い通りになってみて実際どうなんだよ?」

「幸せ大満足で驚いてる」

「だろ?」