今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─


アンのおねだり顔にミカエルは腰がゾクゾクしながら、欲を何とか飲み込んで緩んだ笑みを魅せた。


アンの右頬に手をかざすと治癒魔法の光が集中し始める。


「婚約なんてしてやらない」

「え?」

「俺はもうそんなものじゃ、満足できないから」


アンの右頬に優しい癒しの光が浴びせかけられて、アンは目を瞑った。


ミカエルの言葉を疑うことはもうなかった。ミカエルの言葉は疑いではなく、期待で受け取るべきなのだ。そうすれば、俺様はいつだって、アンの期待を飛び越えていってくれる。


温かい光が消えて、アンが目を開けて右頬を擦る。そこには艶やかなつるつるの肌が戻っていた。ミカエルを見上げると、満足そうに一つ頷いた。


「アンは綺麗だ」

「ありがとう、ミカエル」


ミカエルが綺麗になった右頬にキスを贈ると、二人は喜びに抱き合った。