全く生徒らしくしたことのない王太子のお願いに、ジェイドはため息をついて不満を飲み込んだ。
一晩保健室を貸し出すだけで、リリア嬢に更生の機会を与えられるのだ。教師も辛い。
「……わかりました。それで見逃してあげてください」
「あの女に対しては腐ってるけど、意外と優しい先生だな、お前」
ハハッと一度高らかに笑ったミカエルは、ジェイドの助言を受けて、魔王にあてられたリリアを今回は不問にすることにしてやる。
だが、口だけは収まらない。
「見逃してやるのはこれが最後だ。二度と俺に顔を見せるな、このブスが」