今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─



ミカエルはアンが赤い色めいた顔をして自身の頬にくっつくのを期待した。ミカエルはもじもじと長いその時間に何度も生唾を飲み込む。


(アンはいつも、俺を焦らす)


初めてのキスを待ちきれなかったことを悔いていたミカエルは、今度は耐えに耐えに耐えたかった。


だが、あんまりアンがもじもじ可愛くて、やっぱり我慢できない。

大きな手のひらでアンの後頭部をひっつかんで、淡い赤色の唇に唇を重ねてしまった。


(ああ、また我慢できなかった)


ふにふに重なった唇に、瞬きする間もなかったアンはミカエルの胸を両腕で突っ返す。


「ほっぺたって言ったのに!」

「俺を焦らすお前が悪い」

「全部人のせいだな、お前は!」

「ハハッ、お前の顔見てたらいつも待ちきれない。ごめんな?」