今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─


ミカエルはアンの前に腰を折って顔を突き出して、悪戯な気持ちを隠さずにアンを舐めつけるように見つめた。

アンはそうやって楽しそうにキスを待たれると顔が熱くなる。あざと可愛い発動だ。


(はわっわわわ、お二人のキッス!?)


ヘレナは空気を読んで目を瞑り、丁寧に両手で顔を覆った。アンは自分からキスすると言ったものの、今さら気恥ずかしくてもじもじと両手の指先を重ね合わせた。


「ミカエル、目を……」

「瞑らない」

「ですよね」


ミカエルが腰を屈めて突き出した顔に、顔を寄せて、アンがもじもじと時間をかけて近づいていく。