「自ら頬に焼きごて事件」は幼い子どもが遊んでいての事故と片づけられた。


アンの右頬には豪快な火傷痕が残り、治癒師が治癒魔法を試みても、みみず腫れが残った赤黒い肌は醜いままだった。

かなり深く焼けた。一生消えない、醜い傷だ。



(予想通り、婚約は白紙!!私、大勝利!)



アンは自室で紅茶を片手にほくそ笑んだ。

国王様は、王太子ミカエルの婚約者として傷物令嬢となったアンを認めなかった。


ここまでは計画通り。なのに、アンの予想外の出来事が起こっていた。



「ミカエル、なぜ私とお茶を?」