忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 翌日。

「亜美!」

 大学の廊下で後ろから呼ばれ、亜美は振り返った。

 群司が走ってくる。

「今日暇?」

「授業終わったら?」

「うん」

「暇だけど」

「この前言ってたダンスサークル」

「あ」

「今日見学できるって」

「そうなんだ」

「一緒に来て」

「いいよ」

「即答?」

「約束したでしょ」

「覚えてたんだ」

「失礼」

「いや、お前忘れてそうだから」

「群司の中で私どうなってるの?」

「チラシ全部受け取る人」

「それ関係ない」

 亜美が笑う。

 群司も笑った。

「じゃあ放課後な」

「うん」

 群司が先に歩いていく。

 亜美はその背中を見送った。

 大学生活が始まった。

 知らない場所。

 知らない人。

 これから始まることばかり。

 環境は大きく変わったのに。

 大切なものは、そのまま一緒に大学生活へついてきたような気がした。

「…………」

 亜美は小さく笑って、歩き出した。