忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 三月。

 高校を卒業した。

 制服を着るのも、これで最後。

 屋上で。

 たまたま会った群司と。

 そのまま一緒に昼を食べる。

 そんな高校生活も。

 もう終わる。

 寂しい。

 でも、それ以上に楽しみだった。

 春から新しい生活が始まる。

 群司もいる。

 兄もいる。

 そして、幸也もいる。

「…………」

 自室の机の上。

 誠星大学から届いた入学案内。

 亜美はその表紙を、そっと撫でた。

 あの日。

 キーボードの音に惹かれて、足を止めた部室。

 そこで幸也に出会った。

 あの瞬間から、ずっと追いかけてきた。

 ようやく。

 同じ場所へ行ける。

「…………」

 大人になりたい。

 そう思った日もあった。

 知らないことばかりで、怖くなった日もあった。

 でも今は、分からないことがあっても大丈夫だと思える。

 丈がいるから。

 何でも、丈に相談できる。

 どんなことでも。

 丈に話すことは、恥ずかしいことじゃない。

 亜美はそう信じていた。

 そして。

 四月。

 幸也を追いかけて。

 亜美は、誠星大学へ向かう。