忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 七月。

 夏休みを前にした屋上。

「亜美」

「何?」

「俺も誠星受けることにした」

「え?」

 亜美は思わず群司を見る。

「ほんと?」

「うん」

「いつ決めたの?」

「最近」

「学科は?」

「お前と同じ」

「え!」

「何でそんな驚くんだよ」

「だって同じ学科だと思わなかったから」

「調べたら、俺も興味ある内容だった」

「そうなんだ」

「うん」

「じゃあ」

 亜美の顔がぱっと明るくなる。

「二人とも受かったら、大学でも一緒だね」

「…………」

 群司の心臓が跳ねた。

 大学でも、一緒。

 その言葉だけで、どうしようもなく嬉しくなる。

 でも。

 分かっている。

 亜美は、そういう意味で言っていない。

 友達と大学でも一緒。

 ただ、それだけ。

「群司?」

「……何でもない」

「?」

「お互い落ちたら笑うな」

「縁起悪い」

「冗談」

「絶対受かるから」

「すごい自信」

「群司も受かってよ」

「…………」

「せっかく同じところ受けるんだから」

 また、心臓が跳ねる。

「……分かってる」

「頑張ろうね」

「うん」

 亜美は嬉しそうに笑った。

 群司も、少し遅れて笑った。

 誠星大学を調べたきっかけは、亜美だった。

 でも、調べて、自分でも行きたいと思った。

 それでも。

 亜美と同じ場所へ行けることを、誰より楽しみにしている自分だけは。

 どうしようもなかった。