忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 昼休み。

 屋上。

「亜美、志望校決めた?」

 パンを食べながら、群司が聞いた。

「うん」

「もう?」

「前から決めてたから」

「どこ?」

「誠星大学」

「…………」

 群司の手が止まった。

「誠星?」

「うん」

「第一志望?」

「そう」

「へえ……」

「群司は?」

「俺?」

「進路」

「あー……」

 群司は少しだけ視線を逸らした。

「まだ」

「そうなんだ」

「何個か考えてるけど」

「そろそろ決めないとね」

「お前もう決めてるからって余裕だな」

「余裕じゃないよ。受からないと意味ないし」

「そっか」

「うん」

 亜美はパンの袋を畳んだ。

「絶対、誠星行きたい」

「…………」

 群司が横目で亜美を見る。

「そんな行きたいんだ」

「うん」

「何で?」

「兄も通ってるし、学びたいこともあるから」

「それだけ?」

「……何で?」

「いや。何となく」

「変なの」

 亜美は首を傾げた。

 それ以上、群司は聞かなかった。