忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「第一志望、誠星で変わらない?」

 進路面談。

 担任に聞かれて、亜美は頷いた。

「はい」

「学科も?」

「はい」

「今の成績なら十分狙える。ただ、余裕があるわけじゃないからな」

「分かってます」

「お兄さんも誠星だったよな」

「はい」

「それも理由?」

「……それもあります」

 嘘ではない。

 直充が通っているし、学びたいこともある。大学の雰囲気も好きだった。

 でも。

 始まりは、そこじゃない。

 兄に連れられて行った大学見学。

 そこでキーボードを弾いていた人。

 幸也。

 あの日から忘れられなかった。

 二度しか会っていない。たくさん話したわけでもない。

 それでも、もう一度会いたい。

 もっと話したい。

 もっと知りたい。

 その気持ちは、時間が経っても消えてくれなかった。

 だから、追いかけることにした。

「……絶対、行きたいです」

 思っていたより強い声が出た。

 担任が少し驚いたあと、笑った。

「じゃあ頑張らないとな」

「はい」

 亜美も小さく笑った。