忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 それから、亜美は少しずつ丈に聞くようになった。

「付き合ったら毎日連絡するもの?」

「人による」

「デートってどこ行くの?」

「それも人による」

「男の人って、どういう服が好きなの?」

「それこそ人による」

「先生、役に立たない」

「何で僕が怒られるの?」

「全部人によるって言うから」

「実際そうなんだから仕方ないだろ」

「じゃあ先生だったら?」

「僕?」

「うん」

 丈は一瞬、亜美を見る。

「……亜美、最近僕への質問増えたね」

「先生が相談しろって言ったんでしょ」

「言ったけど」

「じゃあ答えて」

「はいはい」

 最初は、その程度だった。

 恋人同士はどんなことをするのか。

 男の人はどんなことを考えるのか。

 好きな人にはどう接すればいいのか。

 亜美が聞いて、丈が答える。

 それだけ。

 時々、丈がからかう。

「亜美、それ幸也とやりたいの?」

「……もう聞かない」

「ごめんって」

「絶対思ってない」

「思ってるよ」

「笑ってる」

「だって亜美、すぐ赤くなるから」

「先生のせいでしょ」

「僕?」

「そう」

「人のせいにしない」

「もういい」

「あ、怒った」

「怒ってない」

「怒ってるじゃん」

 こんな話をしているのに、不思議だった。

 丈となら笑える。

 最初は言葉にするだけで恥ずかしかったことも、少しずつ口にできるようになった。