忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 授業が終わったあと。

「亜美、これ」

「え?」

 丈が差し出したのは、亜美のスマホだった。

「机に置きっぱなし」

「あ……」

「ありがとう」

 亜美が手を伸ばす。

 けれど。

 丈は。

 ほんの一瞬。

 スマホの画面を見た。

 消えていなかった。

 亜美が最後に開いていたページ。

「…………」

 丈の目が止まる。

「……っ」

 亜美は慌ててスマホを取った。

「見た?」

「ちょっと」

「…………」

 顔が。

 一気に熱くなった。

「最悪」

「ごめん」

「見ないでよ」

「わざとじゃないよ」

「…………」

 亜美はスマホを胸元に抱えた。

 逃げたい。

 今すぐ。

 帰りたい。

「亜美」

「……何」

「何でこんなの調べてたの?」

「…………」

「もしかして」

 丈の声が。

 少し低くなった。

「幸也?」

「…………」

 当たっていた。

 だから。

 何も言えない。

「何かあった?」

「…………」

「亜美」

 優しい声。

 いつもの声。

 それを聞いたら。

 隠していたものが。

 少しずつ。

 崩れてしまった。