忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 その日から。

 ほんの少しだけ。

 亜美の学校での過ごし方が変わった。

 廊下で群司を見かければ。

「亜美さん」

 向こうから声をかけてくる。

「群司くん」

 亜美も返す。

 友人たちに囲まれていても。

 群司は変わらない。

 手を上げて。

 笑って。

 当たり前のように話しかけてくる。

 最初は。

 そのたびに少し困った。

 周りから見られるから。

 亜美は目立ちたくなかった。

 ただでさえ。

 容姿のことで、良くも悪くも視線を集める。

 だから。

 なるべく静かにしていたかった。

 けれど。

「おはよ」

「……おはよう」

 朝。

 廊下ですれ違えば挨拶をする。

「今日屋上行く?」

「行くよ」

「じゃ、俺も行くかも」

「分かった」

 それだけの会話が。

 少しずつ。

 当たり前になっていった。