忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 昼休み。

「最悪」

 屋上へ来た群司は、開口一番そう言った。

「何が?」

「さっきの奴ら」

「楽しそうだったよ」

「どこが」

「仲良いんだね」

「まあな」

 群司は亜美の隣に座る。

 以前より。

 その距離は少し近くなっていた。

 最初は、少し離れて座っていた。

 イヤホンを分けた日だけ近づいて。

 次に来たときは、また少し離れて。

 それが。

 いつからか。

 自然と隣に座るようになっていた。

「……ねえ」

「ん?」

「さっき」

「うん」

「友達って言ったでしょ」

 群司が亜美を見る。

「言った」

「私のこと?」

「他に誰がいんの」

「…………」

「嫌だった?」

「嫌じゃない」

 また。

 同じ答え。

 群司は少し笑った。

「じゃあ友達」

「そんな簡単に決まるの?」

「決まるだろ」

「そうなの?」

「亜美さん、友達になるのに契約書でも書くの?」

「書かないけど」

「じゃあいいじゃん」

「…………」

 亜美は考える。

 友達。

 学校で初めてできた友達。

 丈に言われたときは、まだ少し自分のことではないみたいだった。

 でも。

 今。

 本人から言われると。

 少しだけ違った。

「……じゃあ」

「うん」

「友達」

「何その確認」

「だって群司くんが言ったから」

「俺は最初からそのつもりだったけど」

「いつから?」

「え」

 群司が止まる。

「…………」

「いつ?」

「いや……」

 考える。

 ロッカーを一緒に拭いたとき?

 屋上で飯を食べたとき?

 イヤホンを分けてもらったとき?

 分からない。

「気づいたら」

「適当」

「友達ってそんなもんだろ」

「そうなのかな」

「そうだって」

 群司が笑う。

 亜美は、その横顔を見た。

 友達。

「…………」

 悪くない。

 そう思った。