忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「群司」

「ん?」

 昼休みを終えて教室へ戻ると、友人の一人がにやにやしながら近づいてきた。

「最近どこ行ってんの?」

「何が?」

「昼」

「屋上」

「それは知ってる」

「じゃあ聞くなよ」

「誰と?」

「…………」

 群司の動きが止まる。

「何で誰かいる前提なんだよ」

「お前、一人で静かに飯食うタイプじゃないだろ」

「偏見」

「事実」

「一人になりたい日だってある」

「お前が?」

「俺が」

 友人はじっと群司を見る。

「怪しい」

「何が」

「女?」

「…………」

 ほんの一瞬。

 亜美の顔が浮かんだ。

「違う」

「今の間!」

「うるせえ!」

「絶対女じゃん!」

「違うって!」

 騒ぎ始めた友人を押しのけて、自分の席へ向かう。

「誰だよ!」

「知らねえよ!」

「紹介しろよ!」

「何をだよ!」

 教室に笑い声が広がる。

 群司も笑いながら椅子に座った。

「…………」

 女。

 そう言われると。

 何となく違う気がした。

 亜美は。

 そういうんじゃない。

 まだ。

 たまたま困っているところを見かけて。

 助けて。

 昼を一緒に食べるようになった。

 学校でできた友達。

 それだけだ。

「……何で否定すんだよ、俺」

「何?」

「何でもない」

 群司はスマホを取り出した。

 意味もなく画面を眺める。

 頭の中には。

 さっき笑っていた亜美がいた。