忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 昼休み終了を告げる予鈴が鳴った。

「あ、やば」

 群司がポケットからスマホを取り出し、画面を見る。

「戻らないと」

「うん」

 亜美も立ち上がった。

 二人で屋上の扉へ向かう。

 階段を下りながら、群司がふと思い出したように口を開いた。

「亜美さんって何組だっけ?」

「三組」

「俺、五組」

「知ってる」

「え?」

 群司が足を止めた。

「何で知ってんの?」

「有名だから」

「俺が?」

「うん」

「何で?」

 亜美は少し考える。

「……全校生徒の友達だから?」

 一瞬。

 群司が固まった。

「それ誰から聞いた!?」

 亜美が小さく笑う。

「知らない」

「いや、今の絶対知ってるだろ」

「適当」

「何だよそれ!」

 亜美は少しだけ笑いながら、また階段を下り始める。

 群司もその後を追った。

「亜美さん!」

「何?」

「意外と意地悪だな!」

「そう?」

「そう!」

「初めて言われた」

「じゃあ俺が最初な」

「……うん」

 その返事を聞いて。

 群司の胸が、また少しだけ鳴った。

 最初。

 たったそれだけの言葉なのに。

 何となく。

 嬉しかった。