忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「どうしたの、群司くん」

「雑巾貸してください」

 保健室。

 群司は少し息を切らしていた。

「雑巾?」

「はい。廊下のロッカーが水浸しで」

「何したのよ」

「俺じゃないですって」

「じゃあ誰?」

「分かんないです。女の子のロッカー」

「女の子?」

「鞄とか教科書も全部濡れてて」

「まあ……」

 保健室の先生は眉をひそめた。

 雑巾を一枚取り出す。

 そして。

「あ、待って」

「?」

 棚から白いタオルも取り出した。

「これも持っていきなさい」

「タオル?」

「女の子の鞄や教科書を雑巾で拭く気?」

「あ」

「汚いでしょう」

「……確かに」

「雑巾は床とかロッカー。持ち物はこっち」

「ありがとうございます」

「それと、あんまり酷いようなら先生にも言いなさいよ」

「はい」

 群司は雑巾とタオルを持って、保健室を出た。