忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 数日後。

 群司は講義が終わっても、すぐには帰らなかった。

 校舎の前でスマートフォンを握り、何度か時間を確認する。

「…………」

 頭から離れない。

 幸也の隣で笑っていた亜美。

 繋がれた手。

 幸也を見上げる、嬉しそうな顔。

 亜美に好きな人がいることは知っていた。

 でも。

 それが幸也だとは知らなかった。

「…………」

 だったら。

 丈は。

 何だったんだ。

 文化祭の前日。

 亜美と一緒にいた丈。

 自分と目が合ったのに。

 そのまま亜美を連れていった。

 そして翌日。

 亜美の首にあった跡。

「…………」

 幸也は。

 知っているんだろうか。

 もし、知らないなら。

 知ったら。

 どうなるんだろう。

 亜美に聞くかもしれない。

 喧嘩になるかもしれない。

 もしかしたら。

 二人は――

 そこまで考えて。

 群司は目を伏せた。

 最低だと思う。

 亜美が幸せそうだったことを、知っているのに。

 それでも。

 その先を期待しなかったとは、言えなかった。