忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「亜美」

「…………!」

 荷物を持とうとしたところで。

 後ろから呼ばれた。

 振り返る。

 群司だった。

「……何?」

「これ」

 群司がファイルを差し出す。

「あ……」

 置き忘れていた。

 亜美は受け取る。

「ありがとう」

「うん」

「…………」

「…………」

 沈黙。

 亜美はファイルを鞄に入れた。

「じゃあ……」

「亜美」

 もう一度呼ばれて。

 手が止まる。

「何?」

 群司が何か言おうとする。

 でも。

 少しして。

「……いや」

「…………」

「何でもない」

「そっか」

 亜美は小さく頭を下げる。

「お疲れさま」

「……お疲れ」

 そのまま。

 サークルを出た。

 群司は亜美の背中を見送った。

「…………」

 最後まで。

 亜美の方から。

 名前を呼ばれることはなかった。