忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 翌日。

 塾の廊下。

 亜美は教材を抱えて歩いていた。

 曲がり角の向こうから、丈が来る。

「あ……」

 足が止まりそうになった。

「先生」

「お疲れ」

「……お疲れさま」

 丈はそれだけ言って。

 通り過ぎた。

「…………」

 亜美は振り返った。

 丈はもう、こちらを見ていない。

 昨日までは。

 何かあればすぐ話せる距離にいた。

 今は。

 同じ場所にいるのに。

 遠かった。

 亜美は前を向く。

 教材を抱え直して、歩き出した。