忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 いつも別れる場所まで来た。

 二人の足が止まる。

「じゃあ、私こっちだから」

「うん」

「先生」

「何?」

「……ありがとう」

「何それ」

「だって」

 亜美は少し笑う。

「いっぱい相談に乗ってもらったから」

「別に」

「先生がいなかったら、私……」

 言いかけて。

 止まった。

「何?」

「……分かんない」

「そっか」

 丈はそれ以上聞かなかった。

 亜美は丈を見る。

 これからは。

 キスもしない。

 その先のことも。

 もうしない。

 相談もしない。

 困ったときに。

 丈を頼ることも。

 終わり。

「…………」

 少し怖い。

 でも。

 幸也とちゃんと付き合いたい。

 だから。

 これでいい。

「じゃあ……またね」

「うん」

 亜美は歩き出した。

 一歩。

 二歩。

 少し離れてから。

 振り返る。

 丈はまだそこにいた。

「先生」

「ん?」

「……ありがとう」

「うん」

 亜美は今度こそ前を向いた。

 頭に触れた手の感触を。

 まだ少しだけ残しながら。