忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 二人で歩く。

 いつもと同じ道。

 丈も。

 いつもと変わらない。

 なのに。

 亜美は何度も、その横顔を見てしまう。

「何?」

「……何でもない」

「そっか」

 前を向く。

 少しして。

 また口を開いた。

「先生」

「ん?」

「私、大丈夫かな」

「何が?」

「…………」

 うまく説明できない。

 相談しないこと。

 何かあっても、自分で考えること。

 今までずっと。

 困ったら丈に聞けばいいと思っていたから。

「ちゃんとできるかなって」

「できるだろ」

「……そうかな」

「うん」

 丈はあっさり言った。

 それでも亜美が俯いたままでいると。

 丈の手が伸びてきた。

 ぽん、と。

 頭に触れる。

「…………」

「大丈夫だよ」

 亜美は顔を上げた。

「亜美なら」

 大きな手が、一度だけ髪を撫でて。

 すぐに離れた。

「……うん」

 触れられたところに。

 まだ丈の手の温かさが残っている気がした。

 キスは、もうしない。

 その先のことも。

 そう決めたばかりなのに。

 これくらいなら。

 そう思ってしまった。

 結局。

 安心させてくれるのも。

 丈だった。