忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 翌日。

 亜美は朝から落ち着かなかった。

 スマートフォンを見る。

 閉じる。

 少し経つと、また見てしまう。

『待つから』

『今度は俺が待つ』

 昨日の幸也の声が、何度も蘇る。

 返事なんて。

 本当は、もう決まっている。

 ずっと好きだった。

 高校生の頃から。

 幸也の演奏を聴いて。

 もっと聴きたいと思って。

 もっと会いたいと思って。

 同じ大学まで追いかけてきた。

 一度は振られた。

 それでも、好きな気持ちは消えなかった。

 そんな人が。

 今度は自分を好きだと言ってくれた。

『亜美ちゃんがいいんだけど』

「……っ」

 亜美は思わずスマートフォンを伏せた。

 駄目。

 朝からこんなことをしていたら。

 何もできなくなる。

 今日。

 ちゃんと言おう。