忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 それからも亜美は部室へ来た。

 演奏を聴いて。

 少し話して。

 帰っていく。

「じゃあ、また来ます」

「うん」

「研究も頑張ってください」

「ありがと」

「お疲れさまです」

「亜美ちゃんもね」

「はい」

 亜美が小さく手を振る。

 幸也も軽く手を上げた。

 遠ざかっていく後ろ姿を見送る。

 もう少しいればいいのに。

「…………」

 また。

 思った。

 会えば嬉しい。

 帰れば、もう少しいてほしい。

 来なければ探す。

 そんなことを何度繰り返しても。

 答えは変わらなかった。

 幸也はポケットからスマートフォンを取り出す。

 亜美の名前を開く。

 すぐには打たなかった。

「…………」

 付き合わない方がいい。

 何度そう考えても。

 その先に浮かぶのは。

 また亜美が離れていく姿だった。

 それは。

 嫌だった。

 幸也は画面へ指を置いた。