忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 その日の放課後。

 亜美は机の中へ教科書を入れようとして、手を止めた。

「……?」

 紙が入っている。

 折り畳まれた、小さな紙。

 嫌な予感がした。

 周囲を見る。

 数人の女子が話している。

 誰も亜美を見ていない。

 亜美は紙を開いた。

 そこには。

 短い言葉が書かれていた。

『男好き』

「…………」

 胸の奥が。

 すっと冷たくなった。

 意味が分からない。

 今日、男子と話しただろうか。

 昨日は?

 その前は?

 考える。

 分からない。

 何もしていない。

 亜美は紙を折った。

 一度。

 もう一度。

 さらに小さくする。

 指先が、少し震えていた。

 ――違う。

 そんなことない。

 好きな人だって。

 初めてできたばかりなのに。

 幸也先輩。

 その人しか好きじゃない。

 でも。

 もし。

 幸也のことまで知られたら。

 また何か言われるのだろうか。

 好きな人がいるだけで。

 何か悪いことをしたように言われるのだろうか。

 怖くなった。

 誰にも言わない方がいいのかもしれない。

 そう思った。

 でも。

 一人だけ。

 すぐに顔が浮かんだ。

 先生なら。

 話してもいい。