忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「…………」

 幸也はその背中を見送った。

 また。

 今日も。

 声をかけた瞬間、逃げようとした。

 話している間もほとんど目が合わない。

 そして、自分から離れていく。

「…………」

 気のせいじゃない。

 避けられてる。

 理由は分からない。

 亜美が何を考えているのかも。

 でも。

 文化祭の客席にいなかったときから、気づけば亜美を探している。

 いないと気になる。

 見つけても。

 今度は離れていく。

「…………」

 幸也は遠ざかる黒い髪を見つめた。

 呼び止める理由なんてない。

 付き合っているわけでもない。

 亜美がどこへ行こうと。

 誰といようと。

 自分には関係ない。

 今までなら。

 そうだった。

「…………」

 それなのに。

 離れていく亜美を。

 また。

 目で追っていた。