忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「幸也?」

「ん?」

「聞いてる?」

「ああ」

「絶対聞いてなかったでしょ」

「聞いてたって」

「じゃあ何て言った?」

「何だっけ」

「ほら!」

 目の前の女性が笑う。

 幸也も少し口元を緩めた。

「ごめん」

「珍しい。幸也がぼーっとしてる」

「そう?」

「最近多くない?」

「そうかな」

「何かあった?」

「別に」

 いつものように返しながら、さっきまで黒い髪が見えていた場所を見る。

「…………」

 亜美ちゃん。

 今。

 俺見て、戻った?

「幸也?」

「ん?」

「どうしたの?」

「別に」

 もう一度見る。

 もういなかった。