忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 ある日。

 亜美は校舎を出たところで足を止めた。

「…………」

 少し先に幸也がいた。

 女性と話している。

 距離が近い。

 幸也はいつものように、少し気だるそうに笑っていた。

「…………」

 胸がきゅっと痛んだ。

『幸也は遊び人だから』

 丈の声が浮かぶ。

 高校生の頃に聞いた言葉。

 分かっている。

 幸也は女性との距離が近い。

 避けている間も。

 幸也の周りには誰かがいる。

「…………」

 私がいなくても。

 何も変わらない。

 そう思ったとき。

 幸也がこちらを向いた。

「……っ」

 亜美は反射的に顔を逸らした。

 そのまま校舎へ戻る。

 声をかけられる前に。

 見つからないうちに。