忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 文化祭が終わってから。

 亜美は避けた。

 軽音サークルの前を通らないようにした。

 直充に用事があっても、部室には行かなかった。

 幸也を遠くに見つければ足を止め、気づかれる前に別の道へ曲がった。

「…………」

 会いたくないわけじゃない。

 本当は、会いたい。

 声を聞きたい。

 またあの音を聴きたい。

 それでも幸也に近づけなかった。

『群司が見てたってことは』

『他にも見てた人、いるかもしれないね』

 丈の言葉が浮かぶ。

 群司が見ていた。

 自分は知らなかった。

 もし。

 幸也も知っていたら。

「……っ」

 胸が苦しくなる。

 文化祭の前日。

 幸也に告白した。

 高校生の頃からずっと好きだったと伝えた。

 振られて。

 無かったことにしたいと、自分から言った。

 そのあと。

 丈のところへ行った。

「…………」

 もし知っていたら。

 幸也は、自分をどう思うんだろう。

 考えるだけで怖かった。

 だから今は。

 会わないことしかできなかった。