忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 軽音サークルのところへ戻る。

「おかえり」

「ただいま」

「散歩終わった?」

「終わった」

「何かあった?」

「何も」

「本当に歩いただけ?」

「そうだけど」

「幸也が?」

「何それ」

「いや、珍しいじゃん」

 適当に返していると。

「幸也先輩」

 声をかけられた。

 女の子が二人立っている。

「あの、写真撮ってもらっていいですか?」

「いいよ」

「やった」

 二人の間に入り、写真を撮る。

「ありがとうございます!」

「うん」

「今日のステージ、すごくかっこよかったです」

「ありがと」

「ずっと見てました」

「そっか」

 女の子たちは嬉しそうに離れていく。

「相変わらずだな」

「何が?」

「モテる」

「知らないよ」

 幸也は少し笑った。

 いつもなら、誰に見られていたかなんて気にしない。

 誰が自分を好きでも、近づいてきても別にいい。

 来る者は拒まない。

 去る者は追わない。

 ずっとそうだった。

『ずっと見てました』

「…………」

 なのに、その言葉を聞いた瞬間。

 思った。

 亜美ちゃんにも。

 見ていてほしかった。