忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 最初の曲が始まったとき、幸也は客席を見た。

 亜美はいなかった。

 まだ来てないか。

 それだけだった。

 ダンスサークルもステージがある。亜美はマネージャーだし、忙しいのだろうと思った。

 二曲目。

 また客席を見る。

「…………」

 いない。

 その次も見つからない。

 曲と曲の間、何気ない顔で客席へ視線を向ける。

 黒い髪を見つけるたび、一瞬だけ目が止まった。

 でも違う。

「…………」

 そのうち来るだろ。

 そう思っていた。

 次の曲。

 その次。

 最後までには。

 けれど最後の曲が終わっても、亜美の姿はなかった。