忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 遠くから大きな拍手が聞こえた。

「…………」

 亜美は何となく顔を上げる。

 歓声。

 拍手。

 文化祭らしい音。

 それを聞いた瞬間。

「…………!」

 何かが引っかかった。

「先生」

「ん?」

「今、何時?」

 丈が時間を確認する。

「――時」

「…………」

 亜美の顔が固まった。

 スマートフォンを取り出す。

 画面に表示された時刻を見る。

「…………」

 忘れてた。

 完全に。

「亜美?」

「終わった……」

「何が?」

「幸也先輩のステージ……」

「…………」

 昨日。

 約束した。

 絶対に見に行くと。

 楽しみにしていると。

 言ったのに。

「…………」

 亜美はスマートフォンを握りしめた。

「見に行くって、言ったのに」